フレスコの技法ズグラフィート(グラフィート)<sgraffito>イタリア語の引っかくという言葉からつけられた名前です。日本語で言うと「掻き落し」にあたります。2層以上の層のマルタを重ねて塗り、上の層を引っかき落として、絵をかいていく技法です。外壁にも使われる方法で、風雨に対する耐久性が良いことに特徴があります。
制作の手順を壁画ラボの作品『葛』『栃』の制作模様に沿って説明します。 |
手順1:支持体 『葛』『栃』を描くことになった会館の従来の壁にはタイルが貼ってあり、フレスコ制作部分をどう作るかを検討しました。その結果壁画の大きさを決定した後タイルをはつって剥がし、その部分に製作用の地塗りを施すことにしました。
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手順2:下図 (カルトーネ/cartone) 制作
フレスコは壁面への描画作業に入ってしまうと構図の変更などができないため、下絵の段階で完全に構想を練り上げる必要があります。
カルトーネとは実物大の下絵のことです。下絵のデッサンを実寸まで伸ばします。模写の場合は図版を拡大します。次にこの紙に描かれたアウトラインに沿って線香や、目打ち、くぎ等で穴をあけます。目打ちなどを使った場合は紙の裏に出たバリ(でっぱり)をサンドペーパーでこすって落としておきます。
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手順3:地塗り(アリッチョ/arriccio) 下地に必ず水を与えてマルタがつきやすいようにします支持体が壁で、凸凹がある場合それを平らにするように下塗りをします。
マルタの厚さは小さい作品なら4mm〜7mm位になるように、大きな壁であればその凸凹に合わせて塗ります。支持体が平らであったり、小品の場合は省略することができます。 |
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手順4:色決定
グラフィートのための中塗りと上塗りのために2色の色を決定します。顔料は土系のものを使用します。
例:ライトレッド・ランプブラック等
マルタに入れる顔料の量はマルタに対して、10%〜30%です。また、白のマルタを使用する場合は顔料は入れません。
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手順5〜6:中塗り〜上塗り
着色したマルタを下塗りの上に塗りつけます。地塗りを水で湿らせてから中塗りをします。
この中塗りが締まってきたら上塗りをします。上塗りは翌日でもできますが、下塗りのマルタにセメントが入っている場合は、乾燥が速いのでその日のうちに仕上げます。 |
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手順7:下絵の転写 粉打ち(スポルヴェロ/spolvero) ジョルナータ分のマルタを塗ってしばらくして程よく乾いたところで、壁の上に主な線に穴をあけた実寸大のカルトーネ(下図)をあてます。そしてその上から土系の顔料(色の粉)の入ったたんぽで叩くと、開いた穴を通って顔料が画面の上に落とされます。この点を頼りに下絵を壁に写していきます。
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手順8:掻き落し |
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